「ふるさとの味が、もうひとつ増える」に込めた意味
このコミュニティの合言葉は「ふるさとの味が、もうひとつ増えるコミュニティ」です。この言葉には二つの意味が込められています。
一つは、剣淵町に住む方や生まれ育った方にとっての「ふるさと」そのもの。もう一つは、剣淵町にゆかりのない方々が、「第三のふるさと」として町を楽しむ入口となることです。「第三のふるさと」とは、生まれ育った町や親族の地元ではないけれど、いつでもデジタル上で町とつながり、「帰れる」場所を指します。

「食」を入口に選んだのは、味覚が記憶に強く残るという理由があります。地域そのものをふるさとと感じてもらうよりも先に、「ふるさとの味」を増やすことで、遠方に暮らす人にとっても親しみやすい入口となるという考えに基づいています。
「食」を入口にした理由と剣淵町の魅力
コミュニティのテーマを「食」に定めたきっかけは、地域おこし協力隊・DAOマネージャーである田中 翔さんの自身の食生活の変化にあります。剣淵町への移住後、道の駅や無人販売所で野菜を買う機会が増え、その味の違いに驚いたといいます。特にトマトやスイートコーンの甘さ、48品種にも及ぶじゃがいもの多様性、全国規模の食味コンテストで最優秀賞に輝いた生産者が複数いるお米、そして国産キヌアで日本一の生産量を誇るキヌアなど、剣淵町には豊かな「食」の魅力があります。

剣淵町には「絵本の里」として知られる絵本の館やアルパカ牧場など、食以外の魅力も豊富です。

それでも「食」を入口に選んだのは、コミュニティの合言葉「ふるさとの味が、もうひとつ増える」にまっすぐつながるためです。また、野菜を購入した後も、自宅で料理をするなどして町とつながり続けることができるという実用的な理由も挙げられています。食に関する話題を投げかけると、町内の飲食店関係者や詳しい住民が情報を提供し、活発な交流が生まれています。
LINEオープンチャットの現状とウェブサイト「ふるさと剣淵」の役割
LINEオープンチャットの参加者は、2026年6月29日の開設から約2か月で84名に増加しました。このコミュニティは2026年7月14日の町長との打ち合わせを経て「町公認」となり、2026年7月22日には町長本人もメンバーとして参加しています。これにより、町内の飲食店や道の駅にQRコード付きのカードやポスターを設置できるようになり、対面での声かけやイベント出店を通じて参加者が増えています。
LINEオープンチャットの会話は流れて消えてしまうという課題に対応するため、2026年8月30日にはウェブサイト「ふるさと剣淵」が公開されました。ウェブサイトは、お店の情報、旬の食材、食べ方、地図、イベントといった「溜まる情報」を提供する役割を担います。これにより、利用者は「調べられる場所」としてのウェブサイトと「聞ける場所」としてのLINEオープンチャットを往復しながら、剣淵町の情報を効率的に得られるよう設計されています。

ウェブサイトの主な機能
ドット絵の町を歩くと、お店と旬がわかる
ウェブサイトの中心には、剣淵町をドット絵で描いた地図があります。この地図は実測に基づいており、アイコンを押すとお店の紹介や名物、住所、SNS・外部リンクなどの情報が開きます。また、「まちなか」のアイコンで拡大図に切り替えることも可能です。さらに、その月に剣淵町で何がとれるかという旬の情報も自動で表示され、道の駅での買い物に役立つように工夫されています。

じゃがいも48品種を「診断」に変えた
町内の直売所に並ぶじゃがいもが48品種もあることから着想を得て、「じゃがいも診断」機能が実装されました。「コロッケ」と入力すればコロッケに向く品種が表示され、品種名を入力すればそれに合う料理名が提示されます。これにより、じゃがいもの多様な品種をより身近に感じ、活用できるようになります。また、田中さん自身が食べておいしかった焙煎キヌアのレシピ集も公開されています。

町のイベント予定を、1か所にまとめた
これまでバラバラだった町内のイベント情報が、ウェブサイトのカレンダーに集約されました。Googleカレンダーを埋め込む形式で、予定が自動で反映される仕組みです。今後は町内の関係者に編集権限が渡され、田中さんの任期終了後も各施設が自ら予定を更新できるような設計になっています。サイト全体の設計も、引き継ぎを前提に、専門知識がなくても情報を更新できるよう工夫されています。

見つけて、聞いて、取り寄せる
ウェブサイトとLINEオープンチャットは、以下の流れで利用されることを想定しています。
- サイトで見つける: 地図でお店を探し、今月の旬を知り、イベントの予定を確認する。
- LINEで聞く: 「これ、どこで買えますか」「今日は開いていますか」といった質問をコミュニティメンバーに尋ねる。
- 取り寄せる: 気になったものを、ふるさと納税を通じて手元に届ける。
剣淵町の近くに住む方は道の駅で旬の野菜を手に取ることができますが、遠方の方はふるさと納税という手段で町の魅力を体験できます。コミュニティやサイト内で寄付を直接呼びかけるのではなく、町の魅力を知ってもらい、応援したい気持ちが生まれたときに選択肢としてふるさと納税を提示するという順序を大切にしています。

今後の展望と地域おこし協力隊・田中 翔さん
ウェブサイトは公開されたばかりで、現在はコミュニティ参加者からの意見を募り、改善を重ねる段階にあります。当面の目標は年内300名の参加者ですが、田中さんが本当の成果物として重視するのは、3年の任期を終えた後も町の人たちだけで運営が回り続ける状態を築くことです。そのため、設計の経緯や運用の手順もすべて記録として残されています。

地域おこし協力隊(DAOマネージャー)の田中 翔さんは、東京出身で、AIライティングを得意としています。東日本大震災での経験から地域への貢献を志し、2026年6月に剣淵町に着任しました。現在はふるさと納税の強化をミッションに、「ふるさと剣淵」の設計・運営、ウェブサイト制作、SNS運用などを担当しています。
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